不退寺

阿保山の 桜の花は 今日もかも 散り乱るらむ 見る人無しに

作者未詳

Futaiji

  • たくさんの木々に囲まれたお寺の入口
  • 紫色のスイレンの花
  • 赤く色づき始めた紅葉となりひらはし

承和14年(847)、在原業平が自ら刻んだ仏像を安置した場所を寺としたのが不退寺(真言律宗)の始まりと伝わります。六歌仙のひとりでもある業平は、奈良へ再び遷都することを夢見た平城天皇の孫。この地ももともとは平城天皇の邸宅でした。本尊の聖観音立像(重要文化財)は平安時代の作。長年秘仏とされ、色彩がよく残り、リボンのような飾りが特徴です。業平の理想の女性を刻んだという言い伝えもあります。南門、多宝塔も重要文化財。小さな池を囲む庭があり、初夏のキショウブ、秋の紅葉の美しさが知られています。

ひもとく万葉集

現代語訳「阿保山の桜の花は今日もまた、乱れ散っているだろう。見る人もなくいたずらに。」

時が満ちれば風に散り、やがて地へ還ってゆく山桜の花びら。この歌のなめらかで優美な調べからは、それをさびしいと思う気持ちが色濃く感じられてなりません。(万葉集巻10・1867番)※阿保山は境内裏の丘陵にあたると考えられています。

みどころ国宝・重文

Hignlights

境内図

不退寺の境内図

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業平観音

平安時代の歌人、在原業平が理想の女性を思い描いて彫ったという逸話から、業平観音と呼び親しまれています。近年は宝冠から垂れた左右の帯にちなんで“リボン観音”という愛称も誕生。2022年に保存修理を終え、白く美しい肌にいっそう磨きがかかりました。

白い肌と宝冠から垂れた左右の帯が特徴的な業平観音。

基本情報

不退寺

公式WEBサイト
http://www3.kcn.ne.jp/~futaiji/
拝観時間
9:00~17:00(受付終了16:50頃)
拝観料

大人500円、高校生300円、中学生300円、小学生200円

※特別公開時は大人600円、中高生400円、小学生300円

※業平忌(5月28日)は大人700円、中高生500円、小学生300円

アクセス
奈良交通バス「不退寺口」バス停から徒歩約3分
電話
080-8943-1201